2014年1月7日 火曜日 初めての入域(前編)

 朝礼時に行われている各工事の人員割振りを聞いて、嬉しくなった。初めて1Fに入れると知ったからだ。この工事は、メガフロート※に関わるもので、割振られたのは小淵さんと私の2人だけ。

 今日の作業はc教育も兼ねている。それは1Fで初めて働く人が受けなければならない現場での教育だ。
 作業者証とガラスバッジ(以下、GB)が付いたストラップを首に掛け、弁当が入ったレジ袋を手に持って、小淵さんとOUAのバスに乗る。バスが国道6号線を北へと進んで行くと、未だに誰も住んでいない家や壊れたままの店舗があり、原発災害の恐ろしさを感じた。

 30分ほどバスに乗っていると1Fに到着。バスを降りて入退域管理棟に入り、小淵さんに入域の仕方を教わりながら進む。
 靴を脱いでレジ袋に入れて、金属探知機を通り、扉が柵で出来ている檻のようなゲートに入る。ここで、入った人間の登録の有無を確認する。扉は入口側と出口側の2つあり、入口側は開いているが、出口側は閉じている。中に入ると入口側の扉が閉まり、閉じ込められた状態になる。「作業者証」と「利き手中指の静脈」を認証させると出口側の扉が開いた。

 配備されている不織布マスクと綿手袋を身に付け、靴が入ったレジ袋をロッカーの上に置く。APDを充電している機械から「緑色のランプが点灯しているAPD」を1つ抜き取る。入退域の管理をする機器にAPDをセットし、作業者証と作業件名などのデータが入った「バーコード」を読み込ませ、画面をタッチして入域処理をする。APDを持っていることを係の人に確認してもらい、遊園地の出入口にある様な「回転するバーが付いたゲート」を通ると管理区域に入域したことになる。

 入域が済むと、バスに乗るために待合所まで向かった。途中で、カゴから全面マスクを取ってレジ袋に入れる。棚から靴を取って履き、近くに配備してある靴カバーを取って、靴を汚染させないために靴の上から靴カバーを履く。バスに乗り、免震重要棟(以下、免震棟)に行った。免震棟は、事故が起きてから事故対応の拠点として使われている地震に強い建物だ。

 免震棟に入り、靴カバーを外す。装備を配備してある場所で、下着、靴下、綿手袋、ゴム手袋、帽子、タイベックを取り、OUAの休憩部屋に向かった。途中で境界があるので、その手前で靴を脱いでOUA関係者用の棚に置いた。免震棟の中は、大部分が養生されていたり、不自然に区切られていたりして、独特な感じだ。

 やっと休憩部屋に着くと、そこはストレスを感じるほど狭かった。装備に着替えていると小淵さんに「股引なんて履いてんのか」と驚かれる。それが終わると、時間が来るまで待った。

※メガフロート:人口の浮島。汚染水を貯めるために1Fに運ばれてきた。
 メガフロートへの低レベル滞留水の移送 – 東京電力

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