作業員時代まとめ その10 「まとめ」

特に問題だと思ったことや印象に残ったことを記す。

工事

私が作業員として働いていた期間、次の4つの工事のいずれかに割振られることが多かった。
・汚染水タンクの雨どい取付工事
・汚染水タンクの屋根取付け工事
・消火配管の設置工事
・Jヴィレッジ廃液輸送委託(工事)

たまに、タンクの肉厚測定工事や5号機の非常用ディーゼル発電機の点検手入れ工事など他の工事に割振られることもあった。

印象に残っているのは3号機廃棄物処理建屋でのポンプ取替工事だ。3号機廃棄物処理建屋の中には、暗く、ドラム缶が数十本置いてあり、床には得体のしれない水がチョロチョロと流れている不気味な場所があった。

作業

建設業の経験が少ないので覚えなければならないことが多かったし、もともと器用ではないので細かい作業にも苦労した。

1Fの工事に従事する前は、全面マスクを着けての作業は少し不安だったが、苦しいと感じたことは一度もなかった。

汚染水タンクが漏れた時の対応で、腰を痛めた。元から腰が悪かったので、かなり辛かった。

他の作業員との関係

私は稲田工業に所属しているが、社長の稲田さんは、2015年4月には開進総建から離れたので、同じ会社の作業員はいなくなった。しかし、小淵建設の人によくしてもらえたので、なんとかなった。特に三浦さんと棚橋さんは一緒に通勤していた期間が長かったので、特に面倒みてもらった。

他の作業員と親しくなり、何度も飲みに行ったりもした。働きだす前は、想像していなかったことだ。

全くそりが合わない作業員も2人だけだがいた。どちらも他の作業員からの評判が悪かったし、不安全な作業をして東電社員に注意されるような人だった。

私が運転する車が基準

私は1F構内に車を出し入れすることが多く、屋根取付け工事では、ホンダのオデッセイに乗ることが多かった。
車を構内から出す時には、車両の汚染の確認をしなければならない。そのあと正門の手前では、書類を渡して汚染が済んでいることを確認される。それ行なう作業員らに、「この車(オデッセイ)が帰る基準になっている」と言われた。そんな基準になっているとは、想像出来なかったので、かなり驚いた。

多重下請けの問題

管理
私は稲田工業の作業員だが、書類上は上位会社(小淵建設)の作業員となっていた。
稲田工業は東電の下請け会社として登録をしていないからだ。これは東電が下請け会社を管理出来ていない証拠だろう。

賃金
同じ工事の作業員でも会社によって給料が違う。同一労働同一賃金なんてものは全くない。それどころか他の作業員より仕事が多く、責任を負う班長が、班長ではない作業員よりも給料が安かった人を知っている。どう考えても不合理だ。

危険手当
危険手当が中抜きされるのも問題だ。作業員が危険を伴う作業をするから支給されるお金なのに、それを他者(会社)が抜くのは不条理だ。それを許している東電や行政にも問題がある。

どれだけ中抜きされるかは何次請けかによっても違うし、所属する会社によっても違う。そのため、同じ現場で同じ作業をしている作業員であっても、危険手当が差が出てしまうのだ。

改善案

1Fで働いて、特に問題だと思ったのは、多重下請け構造だ。雇用の問題もあるし、
良い人材を集めるのに適さない。長く働いてもらうのにも適さない。

廃炉・収束工事が東電主導なのも問題だ。問題や課題の取組が不十分なことが多かった。
作業エリアの調整を改善すると言っても、改善されなかった。
慢性的に構内の駐車場が足りないのに、増やさなかった。
一作業員が東電に問題や課題を伝えるのは簡単ではない。

東電以外の組織が単独で廃炉・収束工事を行なえば、多重下請け構造の問題はなくなる。それに、1つの組織なので風通しがよくなり、問題や課題への取組もよくなるだろう。
どうしても東電やプラントメーカーなどの知識、経験、技術が必要な場合は技術派遣を受ければいいだけだ。
多重下請け構造は1日も早く改善した方がいい。

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