2015年9月3日 木曜日 硝酸が入った容器が破裂した

 今日もアルプスの点検手入れ工事に割振られた。

 供給ポンプエリアの除染作業があったので、その放射線管理を行なう。濡らしたキムタオルで床面や機器を拭いたり、線量が高い床面にはゴムマットを敷くと、線量が下がった。

 1回目は順調だったが、2回目の作業で事件が起きた。作業員がケーブルなどを固定する金具を外して、硝酸の入った容器に入れた。金具の表面に付いた放射性物質を落とすためだ。それからしばらくすると作業員の一人が話し掛けてきた。
「放管さん、煙出てるんですけど大丈夫ですかね?」
私がその作業員の方を見ると、半透明のプラスチック製の容器から、白い煙が出ている。蓋は閉まっているのに、蓋の辺りから煙が出ている。
「監督に言った方がいいんじゃないの」
そう言って、そこから離れようとしたが遅かった。逃げる間もなく、大きな音を立てて容器が破裂した。容器が置いてあった所の数メートル上には、球状の白い煙が漂い、周りの床面や設備に茶色い液体が飛び散っていた。その液体は私の右半身にも付いていた。

 すぐにゴム手袋を交換して、ヘルメットやアノラックを濡れたキムタオルで拭き取る。作業員は除染をやめて、硝酸の拭き取りを始めた。

 作業が終わり、登録センターで事前身体サーベイを受けると、右手首と足が汚染していた。足は下着(下)と靴下を交換するだけで済んだが、手首は皮膚が汚染していて、1000cpmもあった。泡の石鹸とウエットティッシュで拭いたが、あまり効果がない。熱湯を浸したキムタオルで拭くと、600cpmまで落ちた。ウエスはかなり熱かった。まだ高いのでT字カミソリで汚染した所を剃ってもらった。すると300cpmまで落ちて、登録センターの体表面モニタにも引っかからなかった。

 他の放管から「放管なのに汚染したのか?」などと馬鹿にされた。「硝酸が飛び散ったせいだ」とか、「作業員が容器に蓋をしたせいだ」などと言っても、からかわれた。汚染は不可抗力だと思うが、硝酸を浴びた時、すぐに登録センターに上がっていれば汚染しなかった可能性はある。

 6時50分ごろ終業。

被ばく線量 γ線 0.35mSv β線 0.1mSv
現場での作業時間 1回目 23:00~1:10 2回目 2:40~5:40

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