2015年12月21日 月曜日 GM管の窒息

 既設アルプスの点検手入れ工事に割振られた。

 吸着塔で残メディア作業があったので、その放射線管理を行なう。

残メディア作業
吸着塔は汚染水に含まれている放射性物質を吸着し、汚染水を処理する設備で、吸着には活性炭や樹脂などの吸着材を用いる。その吸着材は吸着塔の内部にこびり付くので、それを取り除く必要がある。吸着材はメディアとも呼ばれていたので、その作業は『残メディア』とか『残メディア作業』と呼ばれていた。

 放管のメンバーは明神サービスの青山さんと私の2人。彼がハウスの中にいて、私は外にいた。

青山さんは割と面倒見が良い放管だ。おそらく40代だろう。放管の経験は結構長いようだ。

 作業後、汚染確認のために吸着塔やその周りのスミアをとる。建屋内の放管の資材が置いてある場所で、GM管を使ってスミアを測った。

GM管 対象物から放出される放射線の数を測る測定器。

 私が測定し、青山さんが値を紙に記入した。測っていると、すぐに針が振り切れてしまうものがあった。レンジを上げたが、追いつかない。だが、急に指示値が下がった。
「あれ、急に下がった」
「窒息したんだ」
「窒息……」
「窒息初めて見る?」
「はい。初めて見ます」
「気を付けないと、やっちゃう人は何度もやっちゃうからね」
彼がそのスミアを手に取り、「ちょっと離して測ってみて」と言った。私は言われた通りに、スミアから30~40cm離れた所にGM管の窓を持っていった。それでも指示値は上り、最も高いレンジでも振り切れた。やはり窒息現象が起きていたのだ。私1人で測っていたら気付かなかったかもしれない。青山さんがいて助かった。

窒息現象 高強度(高い値)の対象物をGM管で測った場合に、逆にその値が減ってしまう現象。

 実際に窒息を体験出来たし、離して測れば判断の目安になることもわかった。かなり勉強になった。

 15時30分ごろ終業。

被ばく線量 0.03mSv
現場での作業時間 9:20~11:20

コメント

タイトルとURLをコピーしました