放管時代 磯浦電気その1 まとめ「放射線管理」

放管には現場放管と事務放管の2種類あり、私は現場放管として働いていた。

事務放管
原発で働く作業員などの被ばく線量を管理したり、登録や解除の手続きなどを行なう放管。事務所での仕事が主で、現場に行くことは少ない。

現場放管の主な役割

作業員や監督などの被ばく低減と身体汚染防止、現場の汚染拡大防止を図るのが主な仕事。放射線管理記録や放射線管理の計画書などの書類作成も担う。

放射線管理記録
作業件名、作業内容、測定日時、測定場所、使用した防護装備、使用した測定器、空間や対象物の線量(線量当量率)、床面や対象物表面などの汚染の程度(表面汚染密度)、空気中に含まれる放射性物質の程度(空気中放射能濃度)などが記された書類。「データ」と呼ぶ放管も多い。

作業員などの被ばく低減

目的:線量限度を守り、被ばくによるリスクを少なくする。
方法がいくつかあるので、それらをうまく組合わせる。

被ばく低減の基本
「距離」放射線源から離れる。
「時間」被ばくする現場での作業時間を短くする。
「遮蔽」放射線源と作業員の間を遮蔽する。

フラッシング
配管の工事の場合は、配管内に水を流して洗浄し、線量を下げる。

装備
放射線を遮蔽する装備を作業員に着てもらう。

作業員などの身体汚染防止

目的:内部被ばくと体表面モニタで引っかかるのを防ぐ。
・作業内容や現場に応じて、適切な装備を着てもらう。
・汚染しやすい作業の場合はゴム手袋をまめに交換してもらう。

現場の汚染拡大防止

目的:現場の環境を守る。現場の汚染を減らせば、身体汚染防止にも繋がる。
・現場を養生する。
・塵(ダスト)状の放射性物質が舞う作業の場合は、ハウスを設置してもらう。
・資機材や道工具を移動する時には汚染確認をする。汚染していたら除染をしてもらう。

養生
汚染水や高汚染の物品を扱う場合は、汚染が広がらないように床面や周辺の設備をシートなどで覆う。
ハウス
足場材などで作った骨組みにシートを取付て、作業エリアを覆う。塵状の放射性物質が舞う範囲を区切ることが出来る。
参考:福島第一原子力発電所現地確認報告書 2P写真1

放射線管理の手法

・打合せや現場で、線量が高い所や身体汚染しやすい作業を伝える。
・現場で作業員を見て、放射線管理上問題があることをさせない。
・現場のサーベイを行なう。
・現場に線量表示を貼る。
・以前に行なわれた同じ作業の放射線管理記録を予め確認しておく。

サーベイ
環境、人、物の線量測定、表面の汚染確認、空気中の放射能濃度測定をすること。
線量表示
現場の線量を作業員や監督などに知らせるための表示物。作業員などは基本的に放射線測定器(サーベイメータ)を持っていないので線量表示を見て、現場の線量を確認する。

コミュニケーション
普段から作業員や監督とコミュニケーションを取るのが大事だ。作業(放射線管理)をしやすくなるし、情報も得やすい。世間話でいいので普段からコミュニケーションを取るのが良い。

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