既設アルプス(多核種除去設備)の点検手入れ工事と試運転対応

既設アルプス

正式な名称は多核種除去設備だが、「advanced liquid processing system」の頭文字を取ってアルプスとも呼ばれる。作業員などからは、アルプスと呼ばれることが多かった。

福島第一原発にはアルプスが3つあり、最初に作られたものは「既設アルプス」、2番目に作られたものは「増設アルプス」、3番目に作られたものは「高性能アルプス」と呼ばれている。

福島第一原発で発生した放射性物質で汚染された水(以下、汚染水)から、多くの種類(62種類)の放射性物質を取り除くことが出来る設備。トリチウム(三重水素)は取り除くことが出来ない。

汚染水を処理する系統は3つある。

前処理設備
汚染水は主に吸着塔で処理される。その前にα核種、コバルト、マンガンなどを取り除く設備とマグネシウムやカルシウムなどを取り除く設備がある。

吸着塔
活性炭や樹脂などの吸着剤を用いて、汚染水に含まれている放射性物質を吸着し、汚染水を処理する設備。

点検手入れ工事

配管のガスケットを交換したり、機器や設備の一部を交換したりする工事。その作業と一緒に、配管や機器などの状態を確認する。

配管の中には汚染水が残っていたり、使用されたガスケットに放射性物質が付着しているので、身体汚染の対策が必要だ。また、それらは線量が高いので、被ばく低減の対策も必要になる。

残メディア作業
吸着剤は吸着塔の内部にこびり付くので、それを取り除く必要がある。
吸着剤はメディアとも呼ばれていたので、その作業は「残メディア」とか「残メディア作業」と呼ばれていた。

試運転対応

点検手入れ後などに水を配管や設備に流して、水漏れがないことを確認する。水が漏れた場合は、配管のボルトを締め直すなどして対応する。水は汚染してないものを使用するが、汚染している配管を通るのである程度は汚染してしまう。

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