組織体制
多重下請け構造
多重下請け構造は、良い人材を集めて長く働いてもらうにはそぐわない構造だ。良い人材や業者がいても去っていく。5年も働いていたので、そのせいで作業に悪影響があることを実感した。
班長は一般の作業員より仕事が多いし、責任もある。だが、多重下請けのせいで一般の作業員よりも日当が安い人がいた。こんなことはあってはならない。適正な給料が支払われるべきだ。
多重下請けなので中抜きがある。危険な作業や危険な現場なので、危険手当が出るのだが、それまでもが中抜きされている。こんなことはあってはならない。危険な作業をした人が満額受取るべきだ。
多重下請け構造は烏合の衆なので、無駄が生じやすい。
1F以外の現場を持っている場合は、その人に負担が掛かる。
各業者が最高の人材を投入しているのか疑問がある。
教育・資格
会社によって教育体制が違う。資格を取ってもどれだけ給料に反映されるかは会社によって異なる。
労働災害を減らすには教育が不可欠だが、従事者が所属する会社ごとに異なる。
放管は教育や人材育成うまく出来ていない。書類作成は重要な仕事だが、そこに問題がある。人によって言うことが大きく違うし、「センスが悪い」などで片づけられてしまうこともある。手引き書もないし、良い手本も用意されていない。
一般の作業員より班長の方が給料が安いことも危険手当が中抜きされることもあってはならない。これを改めることが出来ないのであれば、東電は1Fから撤退するべきだ。東電ばかりではなく、行政にも責任がある。それらを報じない報道機関にも問題がある。
複数の元請け
1Fには原子炉建屋内などのかなり被ばくをする工事もあるが、タンク設置工事などのあまり被ばくしない工事もある。各元請けが請負っている工事の中でしか従事者の被ばく線量を調整出来ない状態になっている。
提言「1つの組織で廃炉・事故収束工事に当たる」
多重下請けや中抜きは解消される。
適正な評価がされ、適正な賃金が支払われる。
多重下請け構造によって生じる無理や無駄が解消される。
良い人材も集めやすくなり、長く働いてもらえる。作業時間が短縮出来たり、後戻り(やり直し)作業が減るので、被ばく低減に繋がる。
被ばくする作業とあまり被ばくしない作業を組合せやすくなる。調整出来た従事者は年間の被ばく線量を抑えられる。
人材育成を充実させることが出来る。安全教育をさらに充実させれば、労働災害を減らすことに繋がる。
書類作成なども標準化しやすくなる。
敷地のあり方
廃炉・事故収束工事を行なううえで、敷地が最適な形で造られていない。
加工場は、各元請けがばらばらに敷地を使っている。さらに下請けのなかでも分かれている。
構内の休憩所は、専用に建てられたものではないので使い勝手が悪い。
道路は、使い勝手が良いように整備されていない。特殊車両や大型車両が通行しにくい。歩道が整備されていない場所もある。
五差路なんてものまである。車で交通するのに効率が悪いし、安全上も問題がある。これから何十年も同じままなのは問題がある。
提言「安全で作業しやすく作り変える」
東電は、廃炉が完了するまで30~40年は掛かると言っている。日本原子力学会は、100年程度あるいは300年程度掛かると試算している。それを考えると、敷地のあり方を一から見直し、設備や道路の配置を安全で作業しやすい配置にしないといけない。
なによりも安全を優先させる必要がある。作業のしやすさは労働災害を減らすことに繋がる。
安全で使いやすい加工場を作り、業者で分けるのではなく、工事や作業などによって使い分けるようにする。
構内に大型の休憩所を作る必要があるかもしれない。
設備や施設を含めて、最良の形に作り変える。必要ならば敷地を広げる。
アルプス
既設アルプスと増設アルプスは作業しにくい。既設アルプスと増設アルプスで放管として放射線管理をしていたが、設備のなかには狭くて移動するのも大変なものもある。狭いと被ばく低減もしにくい。
床面の近い位置に設置されている配管もあった。配管には残水やスラリーが残っていて、被ばく低減のために通常はポリ袋をセットしたバケツで受けるが、配管の位置が低すぎるとバケツを置くことが出来ない。
既設の床面は塗装されていないので除染しにくい。
高性能アルプスは塩漬けになっている。
提言「新しいアルプスを作る」
点検手入れや改造工事がしやすく、被ばく低減しやすく、除染しやすいものを新しく作る。
汚染水の処理量を調整しやすく、放射性物質を取除く性能をさらに向上させたものを新しく作る。
東電主導
東電は、事故の当事者だ。発災当初ならともかく、10年以上経ったいま東電が仕切っている必要はない。
東電は、廃炉のプロではない。
東電は、データ改ざんや隠蔽を繰り返してきた。メルトダウンやその基準まで隠していた。そんな組織は撤退させるべきだ。
作業員や監督などの意見を聞く体制になっていない。
提言「新しい1つの組織」
1つの組織を立ち上げて廃炉・事故収束に当たるべきだ。透明性があり、誠実で有能な組織が廃炉・事故収束に当たる。
情報や意思決定プロセスをきちんと公表する。会議やその議事録を全て公開する。
作業員や監督が所長に対して、直接話せるような環境を構築出来る。
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